ゴール前の嗅覚 

オフェンス

ゴール前の嗅覚とは何か?

ゴール前のボールを拾えるかどうかは完全にリアクションなのでしょうか?それでは何度も得点できない気がします。「嗅覚が優れた選手」のプレーの特徴、そして身体の使い方を探索していきましょう。

リアクティブな動き

金子翔太選手(清水エスパルス)のセカンドボールに対する反応です。(2:11〜)

シュートがディフェンスの足にあたり、軌道を予想することはできないのではないかと思われます。クロスバーにボールが当たること自体は一瞬の間に予測できるかもしれませんが、ステップ踏み直せませんしボールの軌道が読みづらいですね。このとき得点した金子選手のプレーを分析してみましょう。

ポジションの優位を取る

シュートを打った瞬間です。この時点では金子選手に明らかなアクションは見られませんが、ポジションとしては青木選手とボールを同一視可能、青木選手は金子選手とボールの動きは同一視できないというポジショニング優位の展開からスタートします。

最初のリアクション

ボールがディフェンスにあたり軌道が変わった瞬間、金子選手は加速のアクションを取ります。この時、青木選手は特に反応を見せていません。金子選手は時間的な優位を得たことになります。このプレー自体は直線的な加速であり、さほど難しい身体の使い方ではありません。このプレー自体は予測できるものではありませんが、この時点で相手よりゴールに近いポジションを得るための準備のアクションが始まっていると言えます。

次のリアクションに備える

ボールがクロスバーに当たる直前には、金子選手は青木選手の前のスペースに関して位置的な優位を得ています。クロスバーに当たったボールはどこへ行くか正直予測がつきません。リアクティブなボールの動きに対応する身体能力も重要ですが、実際はこのようなプレアクションがものを言うのかもしれません。実際金子選手の前方ではドウグラス選手が同じく減速のアクションをしています。一度ポジション的にDFを出し抜き、その後減速動作でしっかりスピードを殺します。そしてこの後の跳ね返ったボールに反応する準備をしています。この時フィールドの選手で動き出しを見せているのは清水の選手だけだと言うことになります。

ボールを読むより、スペースを探す

実際ボールが跳ね返る直前、金子選手は一歩だけ方向転換しています。ボールの跳ね返りを完全に読むことはできませんが、跳ね返る方向だけでも予測を立てているのかもしれません。実際金子選手が行なっているアクションは、「空いているスペースに飛び込めるように、いい準備をすること」なのだと思います。

本当のリアクション勝負

クロスバーにボールが当たった後、本当の勝負が始まります。この時の周囲の選手のリアクションをみてみましょう。金子選手だけは動き出しのアクション(サイドステップ)を行い加速し始めているのがわかります。前方のスペースはプレアクションによって十分に得られているため、横移動だけで最短でボールにたどり着くことが可能になります。

まとめ

「ゴールの嗅覚」と言うのはこう言った一連のプレアクションを、無意識下で行なっている選手を言うのかもしれません。このような感覚に優れない場合、「空いているスペースを探して、一番に飛び込めるようにすること」を言葉にして理解しておくことで実際のプレーに活かせるのではないでしょうか。

もちろんこれを実行するフィットネスも必要です。そしてディフェンスにも同じことが要求されます。こう言った場面を想定した練習が必要ですね。今後僕もチームに取り入れて行こうと思います。