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インステップキックの重要性
「強力な性能のキック」はサッカーの局面を大きく変える能力です。つまり、速く、よく飛び、敵に邪魔されないキックを蹴れる選手は、それだけでとても優秀な選手であると言えます。
ではどのようにすれば上手なキックが蹴れるか、身体の使い方を考えてみましょう!
初心者でこれから楽しもう、子供に教えよう、選手としてもっと質を上げたい、医療者やトレーニング従事者として知っておきたい、色々なニーズに合わせて理学療法士としての知識を噛み砕いて説明します。
シリーズでいくつかまとめますが、意外と基本になっている足首のことはあまり細かく知らないかもしれません。では足首について学びましょう。
どこに当てればいいのか?

足の甲に当てることは間違えありませんが、実は当てる部位は少し広いことを意識する必要があります。まず、「足の甲」のどこに当てるのが正解だと思いますか?正解はこのあたりの骨です。解剖学的な名称は「舟状骨」「楔状骨」と言います。この部分は、そして実際の靴の上から判断するとこのあたりになります。

蹴るときに当たる場所をイメージできることは、いいキックができた時の手応え(蹴り応え?)を得るのに大切です。細かいことを言えば、こんな所にも注意することもできます。舟状骨や楔状骨は、足の「横アーチ構造」なんて呼ばれています。アーチというだけあって、頂点となるポイントがあります。それは図のように舟状骨や楔状骨の一番出っ張っている部位なので、触ってみて一番とんがっている部分を意識することで、より「芯を食った」シュートの感覚が得られます。
当てる部分を使い分ける

先ほどのイメージ図を見て、「あれ?結構インパクトする部位広くないか?」と感じられた方もいるのではないでしょうか?実は同じインステップキックでも、少し当たるポイントに幅があります。これはインステップキックでも、ロングキックのように弾道を高くしたり、弾丸シュートのように低い軌道で押さえ込んで飛ばしたり、役割に違いがあるためです。このインパクト部位の違いと役割の違いについて考えてみましょう。
弾道とインパクトポイント

まず図のように、「どちらに当てるのが正しいのか?」という疑問を持たれる方もいるかもしれません。いかにも「足の甲」という場所と、「インサイドっぽい」やや横側のポイントがあります。このインパクト部位の違いはあるのでしょうか?

図はキックの際の足の差し込み方のイメージです。インステップキックで足首を伸ばして固定して、脚をそのまま縦にスイングすると上の段のように若干弾道は低めになります。ですが地面につま先がぶつかりやすくなってしまうため、実際このようにまっすぐ縦には蹴れません。そして下からボールにインパクトさせようとしても、足の甲ではなくつま先でのインパクトしか出来なくなってしまいます。
下段は脚を横に差し込んだ場合ですが、この場合は対照的にボールを下からすくい上げるような形で足の甲を芯にぶつけることが可能です。逆をいえばボールの軌道を低く押さえにくいため、不必要に上にボールを蹴り上げてしまうこともあります。
キックの軌道による蹴り分け

つまり、同じインステップキック(足の甲)の骨で蹴る場合であっても横でインパクトする場合と真正面でインパクトする場合とで、蹴りやすい弾道に違いがあると言えます。
ロングキックは弾道を高めにして、飛距離を稼ぎたいですよね。ゴール前での直接フリーキックは、壁を越すため弾道を高く上げなければいけません(その後ゴールに収めるためにボールを落とさなければいけなくなりますが、そこがFKの難しい所です。)その場合は下段のようにインステップでも「横」にインパクトしなければいけません。
逆になるべく早く、低い軌道で押さえ込んでゴールを狙うような局面では弾丸シュートが必要とされます。その場合は上段のようにインステップの「前」でインパクトが必要になります。
実際の選手は蹴り分けているか?

キックのスイングを「縦」と「横」で分類している方もお見かけします。僕もこれはイメージ的に非常によくわかったのですが、どうしてもボレーシュートがこの通りはまらずに悩んでいました。しかし、「足の裏がどう見えるか」で分類するとボールの軌道や性質、身体の使い方が一致することがわかりました。
実際の場面での分析を行うと、後ろから見て「足の裏が見えるかどうか」がボールを見る上で一番重要なようです。軌道を抑えて蹴りたい場合は、インステップの「前」の部分をインパクトさせると良いのですが、軸脚などの影響で腰が回らず、「横」の部分が当たるスイングをしてしまい、ボールをふかしているのをよくみかけます。
このように、インステップキックの足の甲の中でも「前」か「横」のどちらかにインパクトされるかが大切なポイントのようです。
まとめ
- インステップキックは、足根骨(舟状骨と楔状骨)に当てる
- 当てる部位は「前」と「横」があり、どこに当てるかで微妙に軌道が変わる
- 当てる部位と蹴りたいボールの軌道をマッチさせる必要がある
まずはこんな所でしょうか。今後もインステップキックについてまとめていきます。
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