鈴木孝司選手のプレー
2019.07.06 VS栃木SC 前半40分
ゴール自体は偶然性が高いものですが、鈴木選手のプレーは参考にすべき部分が多いと思います。
FC琉球はアタッキングサードまでボールを運び、そこから密集してようが小さいスペースを見つけて得点に結びつけている印象があります。カウンターなどがバッチリはまるようになるには、前線にもう少しスピードのある選手を用意するか、相当いいキックの蹴れるパサーが必要にります。
現状は鈴木選手に以下にこのバイタルエリア付近で仕事をしてもらえるかが戦略上重要なのでしょう。(ある意味どうやって攻めるかコンセプトはわかりやすい)
ではそんな鈴木選手のプレーを分析してみます。

この場面の左脚の使い方は非常に重要です。脚を固めて使うのはこういった方向転換の中で必要なものだと思います。
こういった方向転換の際に、進行方向とは反対の外側にある脚が「外脚」と言えます。この場合の左脚です。
利き足ではこんな感じにできるけど、非利き足(キックの場合軸足)ではこんな風に硬くして使えないこともあります。一連の流れで見ると、大きく踏み出した左脚全体が地面から衝撃を受けているのがわかると思います。膝はわずかに曲がって衝撃を吸収する程度です。こんな風に脚を使って衝撃を受け止めることが多いです。
このような脚の使い方は、正直身体の使い方云々よりもステップワーク次第で変わる印象があります。実際色んな減速動作のパターンをスラローム分析では見かけました。(かつて何百人かのアマチュア選手のスラロームを撮影してみました。)
リハビリテーションに関して言えば、この部分は確実に手を入れなければうまくいかないと断言できます。(特に前十字靭帯再建術後)。
外脚の使い方としては勉強になると思います。

この後の動作ですが、鈴木選手の加速は決して早い方であるとは言えないと思います。DFにも先越されそうなタイミングとスピードです。
この時鈴木選手がついている脚は、「内脚」と言います。加速の時にまず使う第一歩なのですが、この時上半身が進行方向に向かって傾斜していません。
外脚で十分に方向転換が行えず、体全体が外側に持って行かれている場合によくこのように内脚が入った瞬間に上半身が起き上がってしまいます。

実際、この時はサイドステップのようになってしまい、左足が右足を追い越せません。上半身を進行方向へ傾斜できないため、小さな歩幅のステップになることを余儀なくされていると思います。このような動きになってしまう場合、少し体幹の柔軟性がないのかもしれません。もしくは腹斜筋などの側部の筋で体幹をコントロールする練習をするのも良いと思います。

この時加速が少なかったためか、中へのパスを「キャンセル」することができました。DFは完全にコースを切りに来ています。相手に大股のステップをさせた所に自分は細かいステップを入れることで、単純にキックを途中で止めたような動きで相手を動かしています。単純に急に止めようと思ってこんな風に動きを止められたのでしょうか。

ほんのすこしプレーを戻して、キックする前の左足のステップを見てみます。通常であれば左足をこのようにつま先で着くことはありません。左脚は つま先着地→つま先着地で細かいステップを踏んでいます。これがキックフェイントを途中で止めるための予備動作なのかもしれません。面白いステップワークです。

DFを引きつけた結果、河合選手が前で勝負するスペースへパスコースが開きました。
鈴木選手の役割と、働き方、身体の使い方をみてみました。FWとしての機能を果たすために、バイタルエリアで方向転換する能力や、相手を動かす能力(この場合はキックフェイント)は大切ですよね。相手をスピードでぶっちぎらなくても活躍する方法の参考になるプレーでした。