サッカーをしていれば、自分より大きい相手とマッチアップしなければいけない場合が必ずあります。もちろん体格の差は局面において圧倒的に相手を有利にします。つまり、ヘディングの競り合いにおいて重要なのは、身長的に相手が有利なパターンと、自分が有利になれるパターンを知っておくことです。その一例に岩波選手のテクニックを参考にしてみましょう。
ポイントは坐骨です。
ジョー選手は189cm、岩波選手は186cmです。実は二人とも大型選手なので、どっちが勝ってもおかしくないじゃないかと思うかもしれません。ですがジョー選手の方が体重や腕の長さなどで分があることは間違いないと思います。体重はスペース争いではかなり大きな要素になります。自分より重い選手と同じスペースを奪い合うことは結構大変です。

実際、ジョー選手はほとんど両足でどっしり構えてヘディングするスタイルでした。この日は182cmの鈴木大輔選手がジョーとマッチアップする場面が多くみられましたが、同じようにジョーの土俵で競り合うのは厳しかったと思います。
ボールの落下するスペースに入って、後は大きい方が構えて待つようであれば、体重と身長に分がある方が勝ちます。ジャンプはあまり関係ありません。落下するスペースを守ると、このような勝ち筋のない勝負をすることになります。
では岩波選手のこのような競り合いは何が良かったのでしょうか。それはポジションの勝負ではなく、自分が一番早く触れる「タイミング」で勝負したことです。

相手ではなく、自分が一番ボールに早く触れることができる瞬間をイメージして勝負します。初めから落下点で勝負する必要はありません。特に相手が先に落下点に入っている場合に有効な勝負の仕方です。
ボールの軌道を読む能力、そこに合わせて入っていける瞬発力や方向転換能力が必要になりますがこれなら自分より大きな選手とも勝負ができます。
実際岩波選手もそのように動いています。
さらに、その時に自分のタイミングで勝負するための身体の使い方をみてみましょう。これは誰でも真似できるテクニックだと思います。

まず、相手と競り合っている方の足とは反対側で踏み切ります。片足で踏み切るのがポイントです。
そして、同時に相手と競り合っている方の股関節を曲げます。ここで坐骨というお尻のあたりの骨を相手の骨盤、腸骨に上から載せます。
これによって、相手のジャンプを抑え、さらに上に押し上げてもらえます。
うまく腕と肩も一緒に相手に載せられるといいのですが、肘の位置によってはファウルになることも多いです。
坐骨をのせる方法は、膝を相手に向けないよう注意すれば安全に相手を牽制することが可能です。結構使えるテクニックだと思います。