ロングキック 手前には踏み込まない!!

インステップキック

踏み込み位置を考える

 みなさん色々考えながらキックの練習をしていると思います。身体の部位を細かく操作はできませんので、自分が意図的に調整できる点は限られています。自分の身体内部ではなく、外部の方が調整しやすいですよね。

 その中の一つに「軸足をどこに踏み込むか?」があると思います。
ロングキックの観点から、軸足の踏み込み位置を考えてみました。特に育成年代の選手によくみられる、「ボールの手前に踏み込ませると起こる矛盾」についてお話させて頂きます。

ボールの手前に踏み込ませる

 私が育成年代の頃は、ロングキックの指導で「ボールの手前に踏み込んで、上半身を後ろに倒す。そうすると足が上がってボールが飛ぶ」みたいなアドバイスがありました。当時言われてみると理論破綻はしていないような気がしましたが、実際のキックは全くしっくりきませんでした。実際この方法で延々とキックしている選手はいないと思います。なので、そこまで深くこれについては考えていませんでした。

 ですが、こんなリプを頂きました。それもあって一応なぜ手前はダメなのかを説明しておこうかと思います。

小学生は手前に踏み込む子がいっぱいいます

 小学生のキック動作の分析をしている時に、低学年の選手でインステップキックが蹴れない選手はボールの手前に軸足を踏み込んでいることがわかりました。手前に踏み込んでいる子は皆インステップキックが蹴れず、toe kick。軸足の使い方もはちゃめちゃでした。結果的には、手前で踏み込んでキックしている子は球速も遅く、そのほかのキックのチェック項目も悪い子が多いことがわかりました。小学校2-3年生は、コーディネーション的にもキック動作が完成してる選手としていない選手が混在していて、このように動作として未熟なパターンの選手が結構います。

なぜtoe kickになるの?

 足がスイングして届く範囲は決まっています。ボールより手前に軸足を踏み込むと、ボールに足の甲(インステップ)が当てにくくなります(手前や真横だとなぜ当てられるのかは割愛します)。ボールに届きにくくなってしまうのです。なので、自然とボールに当てるためにtoe kickになっているようです。

 ただし、小学生はなぜこうなるか原因はわかりません。足首の固定ができないからかもしれませんし、軸足を斜めに傾けることができないからかもしれません。重要なのは、軸足をボールの手前に踏み込んでしまうと、正常なキックにはならないということです。手前に踏み込んでインステップキックを蹴ると、軸足の膝はかなり曲げる必要が出てきて、あまりいいキックとは言えなくなります。

 以上の点より、手前に踏み込むことでロングキックの飛距離が改善するような要素はないと思われます。実際問題、手前に踏み込んでロングキックを蹴るプロ選手はいません。

もし軸足をどこに踏み込むかで迷ってらっしゃるのであれば、真横から始めてみて下さい。