キックも方向転換が必要
キックの練習で、自分で調整できるものはどんな物があるでしょうか?まず、助走の角度やスイングの方向などは意識して変えやすいものだと思います。
実際のサッカーは、自分の身体の向きがどこを向いているか、どこに蹴りたいか、どっちの脚で蹴りたいかによって、方向転換をしないといけません。
180度行うような方向転換ではなく、緩やかにカーブを描くように動くようなイメージです。
では、キックに必要な方向転換を移動動作として考えると、キック動作をどのように感じるでしょうか?
ボールがない場合
キックは、トラックを左回りに走る動きと似ています。カーブを走るときは、自然と外側の足の歩幅が大きくなってきます。図の水色の線が外側の足です。
キック動作の中では?

キック動作中に方向転換が行われているのは、助走中とスイング中です。ボールを受ける前の身体の向きは、キック動作に入る前に調整ができます。ボールを蹴りたい方向(実際にボールが飛んでいく方向)は、自分のグラウンド上での位置と身体の向きの影響を受けます。
助走の角度(特に、軸足を踏み込む角度のことです)とスイングする方向、この二つがキック動作中に起きている移動動作と考えられます。
ロングキックとシュートの違い

シュートとロングキックの蹴り方の違いの一つが、スイングです。(いろんなシュートやロングキックの蹴り方があるので、「スピード系のシュート」と「軌道が高いロングキック」の違いだと思ってください。)
シュート性のキックはスイングを真っ直ぐにする傾向があり、ロングキック性のキックはスイングを内側にする傾向があります。
足の裏の図で示したのは、「足圧中心」とです。足圧中心とは、足底に働いている床半力分布の中心点のことをいいます。「軸足のどこに荷重がかかっていくか」を示していると思ってもらえれば良いと思います。
シュートの後の軸足の挙動や、ロングキックの後の軸足の挙動から考えると荷重がこのように抜けながら方向転換しているのではないかと考えられます。
シュートは真っ直ぐ走る、ロングキックは曲がりながら走る

シュート性のキックの場合、助走の角度があるので完全に真っ直ぐ走るのとは違いますが、軸足を踏み込んだ後に真っ直ぐ走り出すようなイメージです。
ロングキックの場合、蹴った後はそのまま軸足方向へ走り出すイメージです。ロングキックを蹴る場合の方が、トラックの上を曲がりながら走るようなイメージです。
フォームや蹴り方も変わる
どこにどんな目的で蹴るかでフォームが変わる。
と言うのは蹴る方向や身体の向きによって助走の角度やスイングの方向が変わるからです。
そのため、スラロームのような緩やかな方向転換動作のトレーニングはキック動作に生きてくると思います。
もちろん回旋系のトレーニングなんかも生きてきますね。実際の試合でキック動作が生きてこない選手は、今回のようなことも頭に入れておくと良いかと思います。