スピードを落とすには
有名な動画ですね。素早い方向転換を行うために、減速動作(ストップ動作)は加速動作よりも重要だと言われています。
減速動作のポイントは
- 歩数の調整
- 身体の位置関係の調節
この2つが上手くできるか、です。ではイメージを交えて説明していきましょう。
加速と減速

加速と減速の関係を簡単に説明するとこんな感じです。加速は上半身を前傾させて、身体を前へ前へと送っていきます。減速は赤い点線で囲まれている部分です。上半身は起こして、股関節と膝をしっかり曲げて腰を落とすのが特徴的です。

減速するために腰を落とす理由は、足を前に着くことで自分を後ろに押す力が出せるからです。上半身を後傾することが出来ればもっと減速できるかもしれませんが、それではバランスが取れずに転倒してしまいます。足を前に出すためには、上半身を起こして股関節と膝を曲げて腰を落とすのがベストだと思われます。
減速が十分に行えないと、その後の方向転換に差し障りが出てしまいます。減速動作が上手くなるだけでも方向転換を改善することができます。
歩数の調整

もちろん一歩でビタッと止まれればそれに越したことはないと思いますが、それは無理です。一歩で加速が終わらないように、減速も数歩に分けてストップします。この歩数が少なければ減速にかかる時間も少なくなりますが、一歩にかかる負担は大きくなります。
逆に歩数が多いと一歩にかかる負担は少なくなりますが、減速動作そのものの時間は長くなります。
リハビリテーションの観点で考えると、負荷の調整に減速動作の歩数や距離を調整することもできますね。
6歩以上は遅い? 減速動作が不十分な選手も。

実際にクリスチアーノロナウド選手が行なったようなスラローム走を一般の選手に走ってもらいその特徴を分析すると、大体2-5歩で減速動作を済ませることが多いです。もちろん走る距離の影響などがあるので歩数は参考にしかなりませんが、6歩を超えると外から見ている分にも止まる動作に無駄が多いと感じると思います。また、このような選手はスピードを殺しきれずに滑ってしまうことが多いのも特徴です。

減速動作が不十分だと、方向転換で大きく膨らんだカーブを描いてしまったり曲がった後の加速が遅れたりすることがあります。そうすると図のように外側の脚が曲がってしまうことがあります。これも減速動作が不十分なために起こる現象だと思います。
ストップできない選手の特徴 身体の位置関係

止まれない選手の特徴は、「膝が前に出てくる」ことです。股関節を曲げて腰を落とすことができると、滑ったり流れたりせずにスムーズに次の加速動作に移ることができます。
アマチュアでは股関節を屈曲して腰を落とすことができていない選手が圧倒的に多い印象です。腰が落ちない結果、重心は高い位置にあり後方へ押す力は入りにくくなっているはずです。上半身が前に突っ込んでしまうのも、この股関節を曲げる動きができていないためだと考えられます。
どんなトレーニングで改善させる?
動画のように、上半身を垂直に維持して前に足を出す練習は減速動作のイントロダクションとして適していると思います。
方向転換で身体が流れてしまう、止まりたくても滑ってしまうことが気になる選手はエクササイズだけでなく、実際のステップワークの練習も必要だと思います。これはリハビリでもよく行う練習ですが、怪我をしていない選手でも動作の練習になります。
ぜひ減速動作を意識してプレーしてみて下さい。サッカーではすごく重要な要素です。