重要なのはスイングスピード
早いパスが蹴れること・遠くへボールが蹴れることは、サッカーではとても重要な能力です。
ボールスピードと飛距離を高める共通の要素は、ボールとインパクトする瞬間の足部の速度です。
スイングスピードを速くすることが出来れば、キックの飛距離もボールスピードも上がると理解して良いと思います。
キックのバイオメカニクス
キックのバイオメカニクスは、投球動作と似ています。
つまり、近位のセグメントに遅れて遠位のセグメントの速度が高まる運動パターンです。ムチのような運動と説明されることもあります。
このようなバイオメカニクス的要素からキックをスポーツの技術と捉えると、キックは「近位から遠位へ筋肉を活性化させる技術」とも考えられます。
また、主な力源であると考えられているのは骨盤と大腿前面に付着する筋肉です。
これらの筋肉は、予備動作(後ろに足を振り上げる動作)によって引き延ばされた後に短縮する、SSC(stretch-shortning cycle)というメカニズムでスイングスピードの生成に貢献しています。(特に大腿直筋)
逆に臀部や大腿後面に付着する筋肉はスイング後にそれをブレーキで止めるような役割を担っていると考えられています。
近位と遠位の筋肉は遠心性から求心性、または逆のパターンで収縮しているためキック動作の一部を切り取るようなトレーニングは本質をついていないのかもしれません。
また、脚自体が重いこともボールのスピードを変化させる重要な要素です。下肢筋肉量が多いことはそれだけでもキックに貢献すると言えます。
足を固める技術
スイングスピードを高めて得られたエネルギーは、足部をボールへ「衝突」させることで伝えられます。この時、ボールと接触する足の部分やインパクトした瞬間の距腿関節は硬い方エネルギー伝達の効率が良いと言えます。
つまり、「足首を固める」「足の甲に当てる」技術が重要だと言うことです。前脛骨筋を中心とした筋肉による距腿関節安定化も、この技術の一部と言えるでしょう。
ボールとインパクトする部位がつま先に近すぎる場合、ボールの速度が低下してしまうのは距腿関節を固定するのが困難なためです。
ロングキックとシュートの違いは?
キック動作に共通して重要なことは
- 近位から遠位に筋肉を活性化させていく
- 遠心性収縮→求心性収縮を行う
- 足の甲に当てる
- 距腿関節を固定する
です。これらはキックの基本として重要だと考えられます。
「ロングキックを蹴る・シュートを蹴る」ということは、これらの基本を踏襲しつつ、軌道や回転を調整することだと僕は考えています。
ではロングキックとシュートの蹴り分けはどのように行っているのでしょうか?
私個人がプロ選手の動画を分析した結果、蹴り分けは足の高と地面の成す角度を変化させることで行われているのではないかと考えました。
どんな風にインパクトするか
「スイングスピードを高めて、足首を固定して、硬い部分で打つ」がキックの基本です。
では、ボールに「どんな風にインパクトするか」について考えてみます。

プロ選手のゴールキックを分析すると、ある特徴がわかります。
それは、「キックする足を高くあげない」と言うことです。フォロースルーが低く抑えられています。
このようなスイングをすると、ボールの中心に対して下から真横に払うようにインパクトさすることができます。

シュートの場合はインパクトの面を地面に対して立てるようにします。そうすると軌道が低く抑えることができます。
ロングキックの場合はインパクトの面を地面に対してねかせるようします。そうすると軌道を高くすることができ、かつバックスピンをかけることができます。
まとめ
古い記事を書き直しながら、キックの基本をまとめていこうと思います。
今回の内容はロングキックで一番大切なことかなと思っています。
みなさんたくさん蹴ってみてください。